オランウータンに会いたい!

お客様:T.I様
期間:2012年5月訪問

日本を発ち、一路東南アジアの経由地へ。そこで1泊しいよいよボルネオ島へ向かう。
飛行機はなつかしのボーイング737-200型、着陸時に逆噴射する時にエンジンがパカッと開きトランスフォーマーのようだ。
約1時間のフライトで飛行機はボルネオ島内の田舎の空港へ、眼科には大きな川と熱帯雨林、その先には川沿いに発達した町が見える。
空港に降り立つと、到着ロビーは人であふれかえっている。飛行機はほぼ満席だったが、地元の人のお出迎えは本当に熱狂的だ。荷物を受取り、ガイドと共に外へ出るときは、ちょっと有名人になった気分だった。

ガイドが手早くチャーターしたタクシーに乗り、一路港町へ。途中、地元の人たちがノーヘル、二人乗り、三人乗りはあたりまえのたくさんのスクーターとすれ違う。
すると、急に目の前に大きな川が現われた。大きな木材運搬船と並び小奇麗な一艘の船が着岸している。これが今日から4日間、寝食を共にする船だ。

まずは、トイレとシャワー設備のチェック、日本人だとこういう所が気になってしまうが、「おお、結構きれい」だし、シャワーを浴びれるなんて素晴らしい。仕組みはというと、川の水をくみ上げてシャワーから出しているとのこと。
船が出港して約2時間、最初の訪問地に到着。ガイドに連れられ森の中を歩く事約10分、なにやら木の枝が揺れる音がする。「もしや!?」と期待が高まる中、本当にそこにはおおきなおおきなエラが張ったオスのオランウータンが現われた。
日本からわずか2日で、こんなにすぐにオランウータンに出会えてしまうのかと、信じられないドキドキした中、オランウータンとの1日目はあっという間に過ぎた。
町も、オランウータンも全てが新鮮だった1日目はあっという間に過ぎ、夕食の時間。もちろん船上で。虫が来るからと蛍光灯は消して、キャンドルの明かりを燈す。あたりは漆黒の闇、そして森の中からはたくさんの虫の音、蛙の声、そしてフクロウの声と、なんとも贅沢な夕食だ。コックさんが同乗しているので、味も抜群!ボルネオに来るといつも食べ過ぎてしまうのだが、ここでもやはり食べ過ぎてしまうかな。

一夜明け、ボートは次の目的地へ向け動き出した。ディーゼルエンジンの音が心地よく、ゆっくりと森の中の川を進む。約2時間で到着、「さあ、今日も朝からオランウータンに会えるかな?」と、贅沢な願いを胸にひめ森の中へ。と突然ガイドさんが足を止めた。まだ森の入り口だ。「上を見てごらん」と視線の先にはオランウータンがひっそりと座っているではないか。わずか数メートルの高さの枝に、まるで門番のようにオランウータンが待っていた。今日もあまりの唐突さ具合になぜかリズムを崩した私は、その後も次々と至近距離で観察できるオランウータンに釘付け、その一挙手一同を逃すまいと観察させてもらった。ここでは、オランウータンが森の主、我々は部外者だ。彼らを刺激することのないよう、我々が気を使わないとならない。
しかし、オランウータンと向き合うと、全てを見透かされているかのような感覚になる。その瞳は思慮深く、瞳の奥では色々な事を考え想像しそして行動に移すということが伺える。

朝の観察を追え、ボートはさらに奥へ。ここには、この森の王と呼ぶべきそれはそれは大きな体のオスのオランウータンがいる。
彼は、ここで生まれたのだが、王の座に着く為に自分の父親と激しい戦いを繰り広げそしてこの地位を手に入れたとガイドが教えてくれた。
その顔は時に恐ろしく、しかしお気に入りのメスの前では優しい顔になる。
そしてここにはたくさんの親子のオランウータンが住んでいた。お母さんオランウータンは一生懸命に食事をしている、子供は無邪気にお母さんオランウータンのまわりで木の枝をおもちゃにしたり、ツル植物にぶら下がったりして遊んでいる。
ここはオランウータンにとっては楽園なんだと感じられる瞬間だ。

あっという間の3泊4日、しかしオランウータンとこんなにもたっぷりと濃厚な時間を過ごすことができたのは、この場所が初めてだ。
その愛らしい子供のオランウータンの表情をはじめ、今や環境破壊の象徴としてすぐに名前の挙がるオランウータンだが、本当にボルネオ島の森はどんどん減っていて、彼らが安心して生活できる場所も少なくなっている。
せめて、ここの森だけでも残ってくれればと願いながら帰路に就いた。

ぜひ、皆様とこの貴重な体験を共有できればいいなと思います。

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